企業の防災対策の基礎知識!
用意しておきたい備蓄や企業のBCP事例を紹介

海と山に囲まれ、自然環境豊かな日本。四季がある日本は自然の美しい国ですが、世界でも自然災害が多い国として知られています。

自然災害はいつ起こるかわからないため、日頃からの備えが非常に重要です。企業の防災対策は、災害などの緊急事態が起こった際に、事業への損害を最小限に留め、素早く復旧するためにも欠かせません。

この記事では、企業における防災の重要性やコロナの影響による変化、企業の基本的な防災対策、企業の防災対策のポイント、用意しておきたい備蓄や企業のBCP事例などについて解説します。

防災は企業において欠かせない取り組み

企業やオフィスにおける防災とは、地震・暴風・洪水・火事などの自然災害や事故などの災害から従業員や建物を守る取り組みや、災害発生時に被害の拡大を防ぐことを指します。

また、「災害対策基本法」によれば、災害の復旧を図ることも防災に定義されています。

防災計画は、BCP(事業継続計画)を考える上で欠かせないものの一つです。防災によって従業員を守り、建物などへの被害を抑えることができれば、災害時にも重要業務を中断させない、または中断した場合でも目標時間内に再開することができ、企業の損失を防ぐことにつながります。

企業で働く従業員を守ることは、労働契約法により課せられている義務でもあり、しっかりと防災に取り組む必要があります。

コロナの影響による企業の防災の変化

企業やオフィスで防災が定着し始めたのは、1995年の阪神淡路大震災の頃といわれています。その頃はまだ、企業の防災対策でどのような取り組みを行うべきか、明確ではありませんでした。

しかしその後、2011年に東日本大震災が発生。交通がストップしたため企業で働く多くの従業員が自宅に帰れない状態になり、このときに初めて、オフィスに備蓄してあった防災グッズを使うことになりました。

この体験により、災害時に必要なものやこれまでの防災対策の問題・課題点が明確になり、企業の防災意識が高まるに至ったのです。

そして、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大によっても、企業の防災には変化がありました。以下は、企業の防災担当者が感じていた防災への課題のビフォアコロナとアフターコロナの変化です。

コロナ前の課題コロナ後の課題
●   防災用品の管理(買い足し・買い替え・処分)

●   移転やオフィスレイアウト変更による備蓄品の置き場所の検討・変更

●   防災担当者変更に伴う引き継ぎ業務の手間や負担
●   テレワーク・リモートワーク推進により出社率が変動。どれだけの備蓄品を用意すればいいかわからない

●   災害時に防災担当者が在宅勤務などでオフィスにいなかった場合、オフィスに出社している従業員だけで災害に対応できるか

このような変化から、コロナ禍である現代の防災対策は以下のようなポイントが大切であるといえるでしょう。

1. 防災用品の管理や運用をシンプルに。防災担当者がいない場合でも従業員一人ひとりが防災用品にアクセス可能にする

2. 感染対策の徹底。あらかじめ一人分の防災用品をセットしておき、配布・仕分けなしで利用可能にする

3. 防災担当者の責任から、従業員一人ひとりの責任に。災害時、すべての従業員が自ら動けるようにする

企業の基本的な防災対策

ここからは、企業の基本的な防災対策について解説します。

BCP・防災マニュアルの策定

従業員を守り、重要業務を中断させないためにも、BCPや防災マニュアルを策定しましょう。事前に災害が起きた際の対応を決めておくことで、緊急時も慌てることなく冷静に対処できます。

定期的な防災訓練

BCPや防災マニュアルを作っただけでは、実際に災害が起こったときに動けない可能性があります。定期的な防災訓練を行い、災害に備えましょう。

作成したBCPや防災マニュアルに沿った防災訓練を行えば、これらがきちんと機能しているのかの確認も同時に行えます。見つかった問題点や課題を改善することで、より質の高いものにできるでしょう。

なお、防災訓練は定期的に行う必要があります。防災訓練を行うことは、従業員への防災意識の啓発にもつながるでしょう。

災害時の役割分担

防災訓練や点検作業、備蓄品の買い替えなどは防災担当者が行いますが、実際に災害が起こったときに防災担当者だけですべての事態に対応することはできません。

災害時に混乱せず、素早く対応するためにも避難誘導、救出や救護、初期消火、安否確認など、誰がどんな役割を担うのか、あらかじめ災害時の役割分担を行っておきましょう。

従業員への周知

防災用品を用意し、災害に備えても、従業員が自社の防災用品の収納場所や備蓄品の内容について知らなければ、災害時に混乱を招く可能性があります。

防災担当者が在宅勤務などで不在の場合に備え、防災用品の場所やオフィスの備蓄品の数量を従業員に周知しておきましょう。

具体的な方法としては、防災マップを作成してオフィス内に貼り出す、防災用品の収納庫の扉に「防災用品保管庫」と書いて貼っておくなどがあります。

オフィス家具の固定

近年の地震における負傷の30~50%は家具類の転倒や落下、移動によるものといわれています。高層階になるほど家具類の転倒や落下が起こりやすくなるため、オフィス家具の固定や耐震補強を行いましょう。

まずは、身の回りのキャビネット、コピー機などの固定が十分かどうかのチェックから始めます。避難する際に家具類が倒れて避難路を塞いでしまう可能性があるため、家具の配置も合わせて考えるといいでしょう。

周辺の災害リスク、避難経路の確認

行政が発行している市区群ごとのハザードマップを確認し、オフィス周辺の災害リスクを把握しておきましょう。

国土交通省による「ハザードマップポータルサイト」では、エリア選択や住所入力をすることで対象の地域の災害リスクを調べることができます。また、過去の代表的な災害事例なども確認できるため、チェックしておくといいでしょう。

安否確認の手段を決めておく

従業員やその家族の安否確認方法について決めておくことも重要です。

電話、メール、トークアプリ、災害用伝言ダイヤルなどの方法の他、最近では一斉配信や安否確認データの自動集計、掲示板などの機能を持った「安否確認システム」を導入する企業も増えています。

安否確認システムを使用する場合、登録した情報が変わっていると安否確認が行えなくなってしまうため、登録情報が正しいか、変更はないか確認をしておくことも大切です。

防災グッズの備蓄

東京都による「東京都帰宅困難者対策ハンドブック」では、災害時に従業員がオフィス内に留まれるよう3日分の水や食料などを備蓄することを推奨しています。

これを基本として、社内に備蓄品を用意しましょう。具体的なオフィスの防災グッズについては、この後で詳しくご紹介します。

データのバックアップ

近年は企業のIT化が進んでおり、事業継続や早期復旧のためには、システムやデータのバックアップが欠かせません。被害を受けたシステムの修復・復旧を行うためのDR(ディザスタリカバリ)環境を導入しておきましょう。

方法はいくつかあり、バックアップやシステムの二重化もDRを実現する方法のひとつです。

災害別!企業の防災対策のポイント

ここからは、「地震」「火災」「洪水などの水害」に分けて、企業の防災対策のポイントを見ていきましょう。

地震への対策

まずは、地震への対策です。建物自体には大きな損害が起こらなかった場合でも、オフィス家具の転倒など二次被害による負傷が起こる可能性もあります。

以下のような対策を行い、地震に備えましょう。

● キャビネットやパソコン、コピー機などの固定

● 窓ガラス、ガラス製のドアに飛散防止シートを貼る

火災への対策

コンセントのトラッキング現象や電源タップの誤使用など、オフィスにも火災の原因が潜んでいます。火災を起こさないため、また、万が一火災が起きた場合も被害を最小限にできるよう、以下のような対策を行っておきましょう。

● 防災設備の定期点検

● 従業員全員が初期消火ができるようにしておく

● コンセントのトラッキング現象防止

● 電源タップの使用可能電力を守る

洪水など水害への対策

内閣府が公表した「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によれば、BCPで洪水を想定している企業は約30%でした。

水害は事業継続に欠かせない設備や機械を故障させる原因になるため、しっかりと対策を導入しておきましょう。

● 重要な設備やサーバーは高層階に設置する

● 水のうや土のう、止水板など浸水対策グッズを用意しておく

● 災害保険に加入する

オフィスで必要な防災グッズ

オフィスには、最低でも3日分の水や食料が必要です。以下で最低限必要な防災グッズと準備しておいた方がいい防災グッズをチェックしてみましょう。

【最低限必要な防災グッズ(3日分の水・食料、その他)】

● 水……9リットル(1日3リットル)

● 主食……9食(1日3食)

● 毛布1枚

● 救急セット、医薬品

● 救出用資器材

【準備しておいた方がいい防災グッズ】

● マスク

● ヘルメットや軍手、長靴、作業服

● 防寒グッズ(毛布やカイロなど)

● 電源関連(非常用発電機、用非常用ライト、懐中電灯、ランタン、乾電池など)

● 携帯ラジオ

● 簡易トイレ

● 衛生用品(トイレットペーパー、歯磨きセット、消毒セット、生理用品、汗拭きシートなど)

● その他(ゴミ袋、バケツ、ラップ、簡易食器、洗面用具、タオル、ウェットシートなど)

水は数年など長期保存できるものを選ぶと、買い替えのコストや手間を減らせるでしょう。主食も長期保存が可能なアルファ米やレトルト食品、クラッカーや乾パン、缶詰などがおすすめです。

毛布に代わる保温シート、ビニールシートなどの敷物、簡易トイレやトイレットペーパーなどの衛生用品、懐中電灯、乾電池、携帯ラジオ、救急医療薬品類なども災害時に必要性が高い物資です。

事業継続などの要素も考えて、非常用電源など企業ごとに必要な備蓄品を検討する必要があるでしょう。

オフィスの非常用電源としては、防災製品等推奨品マークを取得したEcoFolwの『DELTA Pro(デルタプロ)』がおすすめです。

2,016Wh〜最大6,048Whまで拡張できる大容量ポータブル電源で、15台のデバイスを同時に作動可能。最大800Wのソーラー充電を実現しています。

(DELTA Proデルタプロ)の詳細はこちら

企業防災・BCPへの取り組み事例

ここからは、企業防災・BCPへの取り組み事例をご紹介します。

森ビル株式会社

六本木ヒルズをはじめとして多くの都市開発事業を手掛ける森ビル株式会社は、災害時に「逃げ出す街ではなく、逃げ込める街」を目指し、防災に力を注いでいる企業です。

建物の耐震構造はもちろん、民間最大規模となる約10万人の備蓄品の保管、独自のエネルギープラントによる安定的な電力供給、防災要員100名分の社宅の備えなどの対策がされています。

株式会社マイヤ

岩手県や宮城県北部の海岸沿いを中心にスーパーマーケットを展開する株式会社マイヤは、「地域のライフライン」として防災に力を入れている企業です。

株式会社マイヤは東日本大震災の津波によって6店舗を失うも、防災マニュアルの整備や日頃の防災訓練の成果によって従業員にも顧客にも1人の犠牲者も出ませんでした。

しかし、本部のシステムサーバーが津波に流されたことでこれまで蓄積してきた営業データがすべて消失。販売計画の立案が困難になりました。この経験から、津波リスクのない内陸部でデータの二重化を行い、事業継続体制を強化しています。

まとめ

災害はいつ起こるか全く予想できず、突如として起こります。だからこそ、日頃からしっかりと防災対策を行い、緊急事態に備えておくことが大切です。

企業における防災対策は、従業員を守ることはもちろん、事業への損害を最小限に抑えることや、早期復旧にもつながります。「あのときに防災対策をしておけば……」と後悔することにならないよう、ぜひこの機会に防災対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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