2019年9月3日、バッテリー・スタートアップの「EcoFLow」が深センで新製品発表会を開催し、大容量の新ポータブル電源「DELTA」を発表した。9月4日から「KickStarter」で予約が開始され、11月に出荷予定という。

「EcoFLow」は貯蓄エネルギー製品の研究開発および販売を行う2017年設立のスタートアップ。現在は「River」という小型ポータブル電源を北米等の海外市場で販売している。創業したのはドローン大手「DJI」でバッテリー開発に携わった経歴を持つ王雷氏で、そうした関係でスタッフには「DJI」出身者も多い。

発表会で王雷氏は「今まではガソリンを使った発電機がポータブル電源として最も利用されてきた。今でも家庭やキャンプ、イベント、工事現場等の様々なシーンで重宝されている。しかし、ガソリン発電機は騒音やメンテナンスコスト等の課題が常にあった」と述べ、同社製品の“存在価値”を強調した。

今回発表された「DELTA」は「River」よりもサイズが大きく大容量で「クリーンで安全なリチウムイオンバッテリーを搭載した発電機」とも謳われている。ガソリンによる発電機と比べると様々なメリットがあり、高効率なのも特長だ。

ステージ上では実際にガソリン発電機と「DELTA」が並べられ、性能比較検証が行われた。また、発電機よりも高い効率を証明するテスト結果もあわせて公表された。それによると、野外照明を使ってテストでは発電機が8時間であるのに対して、「DELTA」は33時間となっていた。

「発電機」という言葉がふさわしいものであるかどうかは判断が分かれるところだが、「DELTA」はガソリンを入れてエンジンを回して電気を供給するガソリン発電機と異なり、一般電源もしくはソーラーパネルから充電を行い、貯蓄された電力を使用する。オプションで持ち運べるソーラーパネルも用意されており、野外での充電も可能で、太陽光の場合は約4時間でフル充電できるという。また、「EcoFLow」は米「テスラ」とも提携しており、「DELTA」を使用してテスラを充電することも可能だ。

「DELTA」は特許取得済みの新技術「X-STREAM」により、充電時間が大幅に短縮され、安全対策も強化されている。具体的には乗用車や飛行機等で使用されることを想定した対策が施されており、車両等に乗せて移動するのもまったく問題がないという。

「DELTA」の一般生活での利用シーンとしては、停電時の電源、ストリートミュージシャンの演奏、キャンプ、室外での工事等が挙げられる。

王雷氏は今までの製品に関するフィードバックも紹介した。米国の電気が通っていない場所で、あるユーザーはソーラーパネルを使った充電方法を利用したことで、電気問題を解決できたという。

価格についても言及された。まずはガソリン発電機の価格を示した上で、「DELTA」の「Kickstarter」における価格を発表。699ドル(約74000円)で、高価なガゾリン発電機と比べると半額近い価格である。 

王雷氏は「我々の核心技術は自社研究開発能力と販売チャネルである」と述べており、現在は世界合計で3万ユーザーがいること、今後は(法人だけでなく)一般ユーザーを増やしていく使命があることも紹介した。

同社は今年5月に日本支社を設立済みで、日本市場開拓に積極的だ。セールスディレクターのBen氏は「災害の多い日本ではこの商品が役に立つシーンはたくさんあると思います。Riverはすでに日本市場に入っていますが、DELTA等の新製品についても日本での提携先を探しています」と述べている。

会場ではパネルトークも行われ、「新エネルギーに将来について」をテーマに議論が行われた。

詳細は割愛するが、パネリストは「今後、新エネルギーが使用されるシーンが非常に多くなること」「新エネルギーへのニーズが年々高まっていること」「現在はコストも落ちてきて、商業化できていること」「世界では伝統的な発電市場はコストや法律等の様々な問題で変化がないが、新エネルギーを利用することで革新的なものを市場に出せるということ」等を強調していた。

また、王雷氏が日本の地震について言及する一幕もあった。「聞いた話ですが、地震の後に停電になり、電力が復帰するのに長い時間を要したそうです。大地震の際は1ヵ月以上も電気が回復しない場所もあったと聞きました。この話を聞き、私はこのような製品の重要性を感じました」と述べている。 

「DELTA」の気になる寿命についてだが、バッテリー寿命は800サイクル(フル充電からゼロまで利用することを1サイクル)で、毎日使っても2年間使え、800サイクルを超えても60%の充電量で使えるという。また、中身のセルだけを交換することも可能で、新しく買い替えるもより安く済む。メンテナンス体制も万全だ。

現在、彼らは海外市場をメインにとらえているが、中国国内もマーケットのひとつと考えてはいる。中でもアメリカはもっとも大きな市場のひとつととらえているようで、「コストコ」とも提携している。

我々日本人にとっては災害時を想定した使い方がメインとなるかもしれないが、EV普及等で電気の重要性が高まる中で誕生した非常に面白い商品であり、この企業の将来は大いに期待できる、と感じた次第である。