失敗しないポータブル電源の選び方(1)

キャンプや車中泊はもちろん、イベントや催し物、さらには防災アイテムとして、今ポータブル電源に注目が集まっています。「何を基準に選んだらいいんだろう」「ポータブル電源を購入する決め手がない」今回は、そんなことを感じている方向けに、ポータブル電源の選び方についてわかりやすく解説したいと思います。これを読めば、あなたの目的に合った購入すべきポータブル電源がわかります。

ポータブル電源とは?

最初に根本的なことですが「ポータブル電源」とはいったい何でしょうか。ここでは、「ポータブル」と「電源」、2つの言葉を別々に解説します。

【ポータブルとは】まず、ポータブルは「持ち運び可能な」という意味です。身近なところでは、携帯電話の電話番号を違う通信会社に移動することを「MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ」といい、「電話番号持ち運び制度」などと訳されています。ホテルなどで荷物を運んでくれるスタッフを「ポーター」といいます。いずれも「運ぶ」意味で使われている事例です。

【電源=バッテリー】
一口に電源といっても、AC100Vコンセントも電源ですし、乾電池も電源です。ここでいう「電源」とは「バッテリー」の意味で、化学エネルギーに変換して電気を蓄えておき、必要なときに電気エネルギーに戻して使用する仕組みを持った二次電池のことです。簡単にいうと、充電して電気を貯めておける電池、つまり充電池のことです。

【ポータブル電源(バッテリー)】これらの2つの言葉を合体した「ポータブル電源」とは「持ち運び可能な充電池」のことです。以下、この記事では「持ち運び可能な充電池」のことをポータブルバッテリーといわず、「ポータブル電源」と表記します。

ポータブル電源には、蓄電量やバッテリーの素材によっていくつかの種類に分類可能です。

【蓄電量による区分け】
まず、蓄電量=充電して溜めておける電気の容量の多少で分類できます。蓄電量の小さいものでは、スマートフォンなどのガジェットへの充電に使用する、いわゆる「モバイルバッテリー」があります。モバイルバッテリーの形状はスマートフォンのような平らな形で、蓄電量は多くの場合10,000mAh以下、大容量を謳う製品で40,000mAh程度です。もう少し容量が大きくなると、ノートパソコンを動かしたり、消費電力の小さな家電の使用に向いたポータブル電源もあります。こちらは形状が箱型になり、蓄電量は200~300Wh以上となります。キャンピングカー内で電子レンジや電気ケトルなど消費電力の大きな家電を使うことができる大型のポータブル電源になると、蓄電量は1,000Wh以上となるケースが多くなります。さらに、災害時などに照明や小型冷蔵庫、スマートフォン充電など、最低限の生活に必要な電気を確保できるような、2,000~3,000Whを超える大容量バッテリーもあります。いずれも、持ち運び可能な充電池という意味で「ポータブル電源」ですが、利用者の使途に合わせた蓄電量のポータブル電源を選ぶことが重要です。

【電池素材による区分け】
電気を貯めておく電池(セル)の素材による区分けも可能です。現在、ポータブル電源は使用されている素材によって以下に分類できます。

リチウムイオン電池
リチウムポリマー電池
リン酸鉄リチウム電池

主流になっているのは、スマートフォンバッテリーでもお馴染みの「リチウムイオン電池」です。

リチウムイオン電池は、製造コストが割安で、軽量かつコンパクトで、繰り返しの充電に強いことが特徴です。リチウムポリマー電池と、リン酸鉄リチウム電池もリチウムイオン電池の1種ですが、使用する素材や加工を工夫して性能や安全性を高めた電池です。電解質に液体を利用しているリチウムイオン電池に対して、リチウムポリマー電池ではゲルを使用し、保護剤で包んでいます。このため、リチウムポリマー電池は液漏れ(電解質漏れ)を起こしにくく、高出力である点が特徴です。リン酸鉄リチウム電池は、安定性・安全性が高く長寿命であることが特徴です。詳しい方は、素材の特性からポータブル電源を選ぶことがありますが、一般的には素材よりも、使途に合った出力や蓄電量によって選ばれます。

ポータブル電源を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。 以下では、ポータブル電源を選ぶ際にチェックすべきポイントについて、項目別に解説しています。

1. 最初にすべきことは「使途をはっきりさせる」こと

ポータブル電源を選ぶ際に、最初に視線を向ける先はポータブル電源ではありません。まずは、ポータブル電源から電気を供給する先、つまり電気製品や、使用する状況に目を向けるべきです。というのも、どのような電気製品を使うのか、どのような状況で電気製品を使うのかによって、選ぶべきポータブル電源がまったく異なるためです。

例えば、キャンプ時や災害発生時に「スマートフォン充電用に」ということであれば、家族4人のスマートフォンを毎日1回、3日間充電すると想定した場合であれば、

5,000mAh(=18Wh)×4台×3日間 
で合計216Whの電力が必要となります。

スマートフォン充電だけでなく、照明用のLEDランタンも充電し、ノートパソコンも使用するとなれば、より容量の大きなポータブル電源が必要になりますし、キャンプや車中泊で小型冷蔵庫や電子レンジ、電気ケトルなど家電製品を使うのであれば、容量1,000Wh超のポータブル電源を用意しておきたいところです。さらに、災害発生時に最低限の電源を確保する目的であれば、使い方にもよりますが、容量は2,000~3,000Whでも足りないぐらいです。

2. 使用機器の定格消費電力とポータブル電源の定格出力

実際にポータブル電源を選ぶ際の基本になるのが「定格消費電力」と「定格出力」です。

【消費電力とは】
消費電力は、電気製品が動作するために必要な電力量の合計です。

例えば800Wの電子レンジを使用する場合、温めは800Wで行われても、庫内照明やターンテーブルの回転、タイマーの動作などにも電気を使用するため、全体として使われる電気の量は、800Wよりももっと大きくなります。
これら電気が所定の機能を発揮するために必要な電力の総計を「消費電力」といいます。 言い換えると、その電気製品が正常に機能するには「消費電力」で示された電力が必要になります。

【定格出力とは】
定格出力は、ポータブル電源が継続して供給できる電力量を表します。「定格出力1,000W」のポータブル電源は、蓄電量の残量がある限り1,000Wの電力を出力し続けることができるという意味です。

実際に、ポータブル電源に接続して電気製品を利用する場合には

消費電力<定格出力 (消費電力よりも定格出力が上回っている)

であることが必要です。

消費電力を下回る定格出力のポータブル電源では、その電気製品を動かすことはできません。 ポータブル電源を選ぶ際に、まず、どのような電気製品を、どのような状況で使うのかを決めるべきである理由はここにあります。つまり、使う電気製品が決まらないと、定格出力がどの程度必要なのかわからないため、ポータブル電源を選ぶことができないのです。 「大は小をかねる」 ということで、スマートフォン充電しかしないのに電子レンジも動かせる大出力のポータブル電源を購入しても、もちろん充電は可能ですが不必要なコストをかけていることになります。

ポータブル電源を選ぶ際には、必ず、使用する電気製品の「消費電力」よりも、ポータブル電源の「定格出力」が上回っていることを確認する

3. ポータブル電源の「瞬間最大出力」(サージ出力)

電気製品の中には、突発的に大電流が流れる場合があります。 電気製品の使い始めに大きな電力を必要とする「起動電力」もその1つです。例えば、電子レンジの場合には、製品の「消費電力」の約2倍の起動電力が必要とされていますし、冷蔵庫やエアコンなどでは、4倍もの起動電力が必要とされています。

ポータブル電源の「瞬間最大出力」あるいは「サージ出力」は、瞬間的に出力できる最大電力を表しています。 起動電力は常に一定ではないため、瞬間最大出力が小さくても動作できる場合もありますし、オーバーロードとして動作できない場合もあります。

4. ポータブル電源の充電容量

ポータブル電源を選ぶ際、次に重要となるのは「蓄電量(充電容量)」です。
簡単にいえば、ポータブル電源から取り出せる電気量です。 例えばキャンプで、60Wの電球を夕方~就寝まで5時間連続点灯した場合の必要な電力量は、60W×5時間=300Whとなり、キャンプの照明だけでも300Whの蓄電量が必要となります。 小型冷蔵庫を使う、夏キャンプであれば扇風機を使う、冬のキャンプであれば電気毛布を使うなど、電気製品を使用すればするほど必要な蓄電量は増加します。 したがって、どのような電気製品を何時間使用するのかシミュレーションをした上で、余裕のある蓄電量を持ったポータブル電源を選ぶ必要があるのです。

ポータブル電源の充電容量は、電気製品の「消費電力」と「使用時間」を元に必要な容量を計算する必要がある

5. AC出力時の波形が純正弦波であること

家電を動かすための電気は壁のコンセントから供給される「交流」の電気で、規則正しい「波形」を描いています。この規則正しい波形を描く電気の波を「正弦波」または「純正弦波」と呼びます。

これに対して、あまり綺麗な波を描けず「角(かど)」のある波形を描く電気の波を「矩形波(くけいは)」と呼びます。また、矩形波を加工して正弦波に近い形に修正したものを「疑似正弦波」または「修正正弦波」と呼びます。

精密な動作が求められる電気製品ほど「正弦波」でしか動かすことができません。 例えば、ACアダプター軽油で利用するノートパソコンやゲーム機などは矩形波でも動作する場合がありますが、多くの家電製品は家庭のコンセントの正弦波に最適化しているため矩形波で動かせないケースが少なくありません。 医療機器などの精密な電気製品はもちろん、家庭やアウトドアでも良く利用するテレビや炊飯器、電気ポット、電気毛布、電子レンジなどは、正弦波でしか動かすことができません。 安価なポータブル電源の中には、矩形波や疑似正弦波で出力する製品もあるので、購入時には必ず「正弦波」または「純正弦波」であることを確認する必要があります。

6. ポータブル電源の出力端子

ポータブル電源から電気製品に電力を供給するには、電気製品にマッチした「出力端子」が必要です。

例えば家電ならAC100V、スマートフォンやタブレットなどのガジェットにはUSBです。 一般的に、ポータブル電源には以下の3種類の出力端子が備わっています。

【AC100V(コンセント)】
電子レンジや電気ケトル、IHヒーター、扇風機などの家電製品はAC100Vコンセントに接続して交流に変換された電力を利用します。

【USB-A・USB-C】
パソコンなどにもついているUSB出力です。通常、AC100Vからスマートフォン充電をする場合には、ACアダプターを経由する必要がありますが、ポータブル電源の多くはACアダプター不要で直接スマートフォン充電や、ガジェットへの給電が可能です。 これらのオーソドックスな出力の他に、「DC5521規格」の端子を備えている場合があります。

【シガーライターソケット(DC)】
自動車の運転席にあるのと同様のシガーソケットを備えています。直流での電力供給をおこないます。車載専用の電気機器などに使用します。

7. ポータブル電源の充電方法

ここまでポータブル電源の「出力」について見てきましたが、ポータブル電源選びでは「入力」、つまり充電方法についても確認しておく必要があります。

 【AC100V充電】
 ごく一般的な充電方法で、自宅のコンセントや、キャンプ場でのAC100V電源に電源コードを接続して充電をおこないます。 【DC12V・24V充電】 直流12Vまたは24Vからの充電で、自動車のシガーソケットに接続して充電できます。 ポータブル電源 によって、12V/24Vいずれでも充電可能な場合と、12Vのみ対応の場合があります。

【ソーラー充電】
ソーラーパネルを接続し太陽光で発電した電気を充電できます。 アウトドアでの充電は自然光による再生可能エネルギーでの充電が望ましいですし、災害時などで停電の際には非常に有難い充電方法となるはずです。 AC100V充電以外の充電方法~DC充電やソーラー充電が可能であれば、停電時やAC100Vでの供給ができない場所でも、自動車の走行充電(DC充電)や、ソーラー充電でポータブル電源に充電が可能です。

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