防災用のポータブル電源を選ぶとき、最初に決めたいのは「何人家族だから何Wh」という数字ではありません。停電中に守りたいものを、連絡手段、明かり、冷蔵、室温対策などに分け、それぞれの消費電力と使用時間を確認することが先です。
家族が増えるとスマートフォンや照明は増えますが、冷蔵庫やWi-Fiルーターは家族で共有できます。そのため、必要な容量は人数に比例するとは限りません。
この記事では、防災計画上の24時間目安を確認したうえで、1人、2人、4人家族の機器リストを使った説明用モデルも示します。家庭の実際の機器に数字を置き換え、必要な容量と定格出力を判断してください。
まず確認したい容量の目安
次の範囲は、防災計画上で示された「優先機器のみを使う24時間停電」の目安です。家電の種類、使用時間、冷蔵庫の運転状況によって必要な容量は変わるため、すべての家庭にそのまま当てはまる数値ではありません。
| 世帯 | 主な想定機器 | 24時間停電の容量目安 |
|---|---|---|
| 1人 | 照明、スマートフォン、Wi-Fi、ノートPCなど | 1,200~1,800Wh |
| 2人 | 照明、スマートフォン、Wi-Fi、ノートPC、扇風機など | 2,000~3,000Wh |
| 4人 | 照明、複数台のスマートフォン、Wi-Fi、冷蔵庫、扇風機など | 3,200~5,000Wh以上 |
以下の人数別表は、機器ごとの計算手順を示す説明用モデルです。各機器のW数と使用時間は、家庭の銘板・取扱説明書・実測値に置き換えてください。
容量を決める前に「停電時に残す機能」を決める
停電時は、家電を普段どおりすべて動かす計画にすると容量不足になりやすくなります。次のように優先順位を決めると、停電時に使う機器と時間を決めやすくなります。
優先度が高いもの
- スマートフォン、モバイル通信機器、ラジオ:家族との連絡や防災情報の確認
- LEDライト:夜間の移動や作業
- 冷蔵庫・冷凍庫:食品の状態を保つための短時間運転
状況に応じて使うもの
- Wi-Fiルーター、ノートPC:通信や仕事が必要な時間だけ使う
- 扇風機、電気毛布:季節、体調、室温に応じて使う
- テレビ:情報収集に必要な時間に限定する
個別に確認が必要なもの
医療機器や介護機器は、一般家電と同じ計算だけで接続可否を判断できません。機器メーカーや医療従事者に、必要な電源条件、起動時の電力、波形、予備電源について確認してください。ポータブル電源だけに依存しない備えも必要です。
WとWhを使った計算方法
「W」は機器が動くときの電力、「Wh」は一定時間に使う電力量です。例えば、10Wのライトを5時間使うなら、必要な電力量は50Whです。
複数の機器を使う場合は、それぞれの電力量を足します。その後、AC出力への変換などによる損失を見込んで、公称容量を計画します。
0.8は、説明用の計画係数であり、すべての出力方式や機器に固定適用できる実測効率ではありません。実際の結果は、AC変換損失、出力方式、待機電力、温度、バッテリー状態、機器の運転周期などで変わります。各機器の定格表示・取扱説明書・可能であれば実測値を使って再計算してください。
家族人数別の機器リストと計算例
ここでは、機器ごとの計算手順を示す「説明用モデル」「計算例」「理論上の目安」を掲載します。各W数と使用時間は特定家庭の実測値でも日本家庭の平均値でもないため、実際の機器の銘板・取扱説明書・実測値に置き換えてください。冷蔵庫とWi-Fiルーターの使用時間を人数に応じて変えた箇所は、行動量の違いを示す計画上の仮定であり、同じ機器の消費量が人数に比例することを意味しません。これらは全世帯共通の結論ではありません。
1人暮らし:説明用モデル・計算例(合計650Wh、必要な公称容量約810Wh)
| 機器 | 想定条件 | 電力量 |
|---|---|---|
| LEDライト | 10W × 5時間 | 50Wh |
| スマートフォン | 15W × 2時間 | 30Wh |
| Wi-Fiルーター | 10W × 10時間 | 100Wh |
| 冷蔵庫 | 120W × 累計3.5時間 | 420Wh |
| ラジオ | 5W × 4時間 | 20Wh |
| ノートPC | 60W × 0.5時間 | 30Wh |
| 合計 | 650Wh |
この説明用モデルでは、650÷0.8=812.5Whとなり、計画上は約810Whです。これは限定した機器と時間による計算例で、1人世帯の24時間参考範囲(1,200~1,800Wh)とは別の口径です。
2人家族:説明用モデル・計算例(合計1,040Wh、必要な公称容量約1,300Wh)
| 機器 | 想定条件 | 電力量 |
|---|---|---|
| LEDライト | 10W × 7時間 | 70Wh |
| スマートフォン2台 | 15W × 合計4時間 | 60Wh |
| Wi-Fiルーター | 10W × 16時間 | 160Wh |
| 冷蔵庫 | 120W × 累計5時間 | 600Wh |
| ラジオ | 5W × 6時間 | 30Wh |
| ノートPC | 60W × 2時間 | 120Wh |
| 合計 | 1,040Wh |
この説明用モデルでは、1,040÷0.8=1,300Whが必要な公称容量の計算例です。2人世帯の24時間参考範囲(2,000~3,000Wh)と同じ意味ではなく、機器と使用時間を限定した理論上の目安です。
4人家族:説明用モデル・計算例(合計1,500Wh、必要な公称容量約1,875Wh)
| 機器 | 想定条件 | 電力量 |
|---|---|---|
| LEDライト | 10W × 9時間 | 90Wh |
| スマートフォン4台 | 15W × 合計8時間 | 120Wh |
| Wi-Fiルーター | 10W × 24時間 | 240Wh |
| 冷蔵庫 | 120W × 累計8時間 | 960Wh |
| ラジオ | 5W × 6時間 | 30Wh |
| ノートPC | 60W × 1時間 | 60Wh |
| 合計 | 1,500Wh |
この説明用モデルでは、1,500÷0.8=1,875Whが必要な公称容量の計算例です。4人世帯の24時間参考範囲(3,200~5,000Wh以上)とは別の口径であり、全世帯に共通する結論ではありません。
防災用ポータブル電源の容量クラスと使える家電
容量クラスの比較も、説明用モデル・理論上の目安として見てください。1,024Whや2,048Whを平均Wだけで割る単純計算は、変換損失や待機電力を含まないため、実際より長く見積もる可能性があります。
ただし、容量が大きくても、消費電力の高い家電を長時間使えるとは限りません。消費電力が高い機器は、短時間でも消費するWhが大きくなります。
| 家電の例 | 計画用の消費電力例 | 1,024Whでの計算例・理論上の目安* | 2,048Whでの計算例・理論上の目安* |
|---|---|---|---|
| LEDライト | 10W | 約82時間 | 約164時間 |
| Wi-Fiルーター | 10W | 約82時間 | 約164時間 |
| 冷蔵庫 | 120W | 約6.8時間 | 約13.7時間 |
| 電気毛布 | 120W | 約6.8時間 | 約13.7時間 |
| 炊飯器相当の調理家電 | 1,000W | 約0.8時間 | 約1.6時間 |
| 電気ケトル | 1,500W | 約0.5時間 | 約1.1時間 |
- 説明用モデル。容量(Wh)×0.8÷消費電力(W)で計算した理論上の目安で、実際の稼働時間を保証するものではありません。
冷蔵庫はコンプレッサーの運転と停止を繰り返すため、120Wを24時間連続で使うという意味ではありません。実際の消費電力量は機種、室温、設定、扉の開閉で変わります。電気毛布や調理家電も、設定温度や使用時間によって結果が変わるため、表は容量の違いを理解するための参考値として利用してください。
防災用ポータブル電源の選び方5つ
1. 必要な容量
家庭の機器リストから1日分のWhを計算し、0.8で割った値を公称容量と比較します。停電が数日続く場合は、使用時間を短くする、電気を使わない代替手段を用意する、追加バッテリーや再充電方法を組み合わせる、といった複数の対策が必要です。
2. 定格出力
同時に動かす家電のW数を合計し、定格出力以内に収まるか確認します。公称容量(Wh)は蓄えられる電力量、定格出力(W)は継続的な出力の基準、サージは起動時などの一時的な電力、X-Boostは対応条件下で一部の機器を動作させるための機能です。サージやX-Boostは、定格出力や連続運転能力を意味しません。冷蔵庫やモーター機器は起動時に一時的な電力が必要になるため、定格表示だけで判断しないでください。
3. 出力ポート
AC、USB-A、USB-C、DCなど、実際に使う機器に合う出力端子が必要です。スマートフォンの充電、ルーター、照明、ノートPCを同時に使う家庭では、端子の数だけでなく各端子の出力条件も確認してください。
4. 保管場所と重量
防災用電源は、停電時に取り出せる場所へ保管します。DELTA 3 Plusは約12.5kg、DELTA 3 Max Plus(2,048Wh)は約22.1kgです。重いモデルを階段で持ち出す前提にせず、設置場所から使用場所まで安全に運べるかを家族で確認しましょう。
5. 充電方法と長期保管
AC、ソーラー、車からの充電など、使用環境に合う方法を確認します。ソーラー入力は天候、季節、影、角度、パネルと本体の入力仕様に左右されます。長期保管時は製品の取扱説明書に従い、残量確認や定期的な点検を行ってください。
ソーラー充電の時間は、パネルの出力・接続枚数・天候・季節・設置角度・影の有無によって変わります。DELTA 3 PlusとDELTA 3 Max Plusで利用できるパネルと充電時間は、製品ごとの公式対応表を確認してください。
使用時に注意したいこと3つ
1. 屋内での設置条件を確認する
本体やケーブルを水に濡らさず、通気を妨げない場所で使用します。熱がこもる場所、落下する場所、通路をふさぐ場所は避けてください。ソーラーパネルや延長ケーブルを使う場合も、製品の安全指示と接続条件を守ります。
2. 高出力家電を同時に使いすぎない
電子レンジ、電気ケトル、炊飯器、暖房器具などを同時に使うと、定格出力を超える場合があります。まず通信、照明、冷蔵などの優先機器を確保し、その後に使用する機器を決めてください。
3. 停電が長引く前提で再充電を考える
容量だけで数日分の電力を確保しようとすると、重量や保管スペースが大きくなります。停電が長引く可能性がある地域では、負荷を減らす手順、車やソーラーなどの再充電手段、家族間の使用ルールを事前に決めておくことが重要です。
DELTA 3 PlusとDELTA 3 Max Plus(2,048Wh)の違い
容量や定格出力だけでなく、普段使う家電をどのくらいの時間動かせるかまで確認すると、家庭に合うモデルを選びやすくなります。以下では、機器ごとの使用時間を計画用の消費電力で比較します。
| 比較項目/家電の例 | DELTA 3 Plus | DELTA 3 Max Plus(2,048Wh) |
|---|---|---|
| 公称容量 | 1,024Wh | 2,048Wh |
| 定格出力 | 1,500W | 3,000W |
| 重量 | 約12.5kg | 約22.1kg |
| 容量拡張 | 最大5kWh | 最大10,240Wh |
| 防災計画の例 | 1人の最小構成や短時間の停電。24時間は機器・時間を絞る | 2人の24時間目安の下限付近。4人は容量拡張・負荷削減を前提 |
| 扇風機(21W) | 約41.7時間 | 約83.4時間 |
| テレビ(60W) | 約14.6時間 | 約29.2時間 |
| 冷蔵庫(110W) | 約8.0時間 | 約15.9時間 |
| 電気毛布(54W) | 約16.2時間 | 約32.4時間 |
| スマートフォン(11W) | 約79.6時間 | 約159.2時間 |
| ノートパソコン(52.6W) | 約16.6時間 | 約33.3時間 |
| 電子レンジ(1,000W) | 約0.9時間 | 約1.8時間 |
| 炊飯器(350W) | 約2.5時間 | 約5.0時間 |
| 電気ケトル(1,000W) | 約0.9時間 | 約1.8時間 |
※使用時間は、容量(Wh)×0.95×0.9÷消費電力(W)で算出した理論上の目安です(計算条件:25℃での容量保持率95%、表示SOC100%、出力変換効率90%)。冷蔵庫などは運転周期や設定、室温、扉の開閉によって実際の使用時間が変わります。
DELTA 3 Plusは、1,024Whと1,500Wの定格出力を備えたモデルです。防災計画上の1人世帯・24時間目安(1,200~1,800Wh)を本体だけで満たす容量ではないため、最小構成や短時間の停電で、使用機器と時間を絞る場合の候補として検討してください。${product_carousel_1}
DELTA 3 Max Plus(2,048Wh)は、2,048Whと3,000Wの定格出力を備えています。防災計画上の2人世帯・24時間目安(2,000~3,000Wh)の下限付近を検討する候補ですが、4人世帯の24時間目安(3,200~5,000Wh以上)を本体だけで満たすものではありません。約22.1kgあるため、避難時に持ち出す前提ではなく、家庭内の安全な保管場所、コンセントまでの距離、設置時の動線も確認してください。${product_carousel_2}
両モデルとも対応する追加バッテリーで容量を拡張できますが、接続できる製品と構成はモデルごとに異なります。追加容量を選ぶ場合は、対応製品、接続方法、設置スペース、再充電の方法を公式情報で確認してください。
購入前に確認したいチェックリスト
- 停電時に必ず使う機器を3〜5個に絞る
- 各機器のW数、起動電力、1日の使用時間を記録する
- 機器ごとにW×時間を計算し、合計を0.8で割る
- 同時に使う機器のW数が定格出力以内か確認する
- 1日を超える停電に備え、負荷を減らす方法と再充電方法を決める
ソーラー充電や車からの充電を組み合わせる場合も、天候、設置条件、入力仕様、ケーブル、周囲の安全条件を確認してください。再充電できることを前提に容量を小さくしすぎると、雨天や設備停止時に予定した機器を使えなくなることがあります。
停電に備える一般的な確認事項については、内閣府「家庭における地震時等の停電対策について」も参照してください。防災全般の事前準備は、令和8年版 防災白書にも掲載されています。
よくある質問
人数別の24時間目安と計算例は同じですか?
同じではありません。24時間の防災計画の参考範囲は、1人1,200~1,800Wh、2人2,000~3,000Wh、4人3,200~5,000Wh以上です。一方、人数別の表は、機器と使用時間を限定した説明用モデル・計算例・理論上の目安で、1人650Wh、2人1,040Wh、4人1,500Whという合計から0.8で割って必要な公称容量を示しています。二つの数字は同じ口径ではなく、実際の家庭では機器の銘板・取扱説明書・実測値で再計算してください。
冷蔵庫はポータブル電源でずっと動かせますか?
冷蔵庫の実際の消費量は、機種、設定温度、周囲温度、扉の開閉、コンプレッサーの運転周期で変わります。公称容量と定格消費電力だけから、すべての冷蔵庫の連続運転時間を保証することはできません。
容量が大きいほど防災に最適ですか?
容量が大きいほど、同じ負荷で給電できる時間を長く計画できますが、重量、保管場所、移動、再充電方法も大きくなります。必要な機器と停電期間を明確にしてから選ぶと、必要量と容量の差を確認しやすくなります。
まとめ
防災用電源は、家族人数だけでなく、停電時に残す機能、機器のW数、使用時間、定格出力、保管・搬送条件から選びます。24時間の計画参考範囲は、1人1,200~1,800Wh、2人2,000~3,000Wh、4人3,200~5,000Wh以上です。本文の1人650Wh・2人1,040Wh・4人1,500Whは、0.8で割る計算を示す説明用モデルであり、実際の家庭の機器と使用時間に置き換えてください。DELTA 3 PlusとDELTA 3 Max Plusは、負荷、停電時間、定格出力、重量、保管、容量拡張と再充電の条件に応じて候補を検討しますが、無条件の購入推奨ではありません。
本記事の容量はモデル計算による目安です。実際の給電時間や機器の動作は、接続機器、使用環境、温度、変換損失、バッテリー状態などによって異なります。使用前に各製品と接続機器の取扱説明書をご確認ください。
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