突然の停電で水槽のエアーポンプやヒーターが止まり、魚が無事か心配になった経験はないでしょうか。電気が止まった水槽では、酸欠と水温の変化が少しずつ進んでいきます。停電したら、電池式のエアーポンプで酸素を補い、水温の変化を抑えるのが基本です。
そこで本記事では、水槽が停電したときに起こる変化や、停電時の対処法について詳しく解説します。魚の種類別の注意点や停電対策に役立つアイテムも紹介しているので、大切な魚や水草を停電から守りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【水槽が停電したら、まずやること】
1. 水槽機器のプラグを抜く(復旧時の火災を防ぐ)
2. 電池式エアーポンプで酸素を送る
3. 断熱シートやカイロで水温を保つ
4. 餌やりを控えて水質の悪化を防ぐ
停電から復旧したら、外部式フィルターは呼び水をして、水漏れがないかを確かめてから動かしましょう。
水槽が停電したらどうなる?
水槽が停電すると、エアーポンプやろ過フィルター、ヒーターといった機器がすべて止まります。酸欠と水温の変化、水質の悪化が同時に進むため、魚にとっては過酷な環境となるでしょう。停電した水槽で起こる主な変化と、その理由は以下のとおりです。
- エアーポンプ・ろ過フィルターが止まり酸欠になる
- ヒーター・クーラーが止まり水温が変化する
- ろ過が止まり水質が悪化する
それぞれの変化が起こる仕組みについて、詳しく見ていきましょう。
エアーポンプ・ろ過フィルターが止まり酸欠になる
エアーポンプやろ過フィルターが止まると、水面が揺れなくなり、水に溶け込む酸素が減っていきます。水面で口をパクパクさせる「鼻上げ」は、魚が酸欠に陥っているサインです。
水に溶け込める酸素の量は、水温が高くなるほど少なくなります。JIS K 0102に基づく1気圧での飽和溶存酸素量は、以下のとおりです(※1)。
| 水温 | 淡水 | 海水(塩分36) |
|---|---|---|
| 20℃ | 9.09mg/L | 7.35mg/L |
| 25℃ | 8.26mg/L | 6.73mg/L |
| 30℃ | 7.56mg/L | 6.20mg/L |
※1参考:JFEアドバンテック「JIS K 0102改正による溶存酸素計の測定値の補正」
ヒーター・クーラーが止まり水温が変化する
ヒーターやクーラーが止まると、水温は室温に近づいていきます。GEXは熱帯魚水槽の適正水温を25〜26℃としており、冬の停電では水温の低下に注意が必要です(※2)。
夏は、クーラーや冷却ファンが止まり、水温の上昇と酸欠が同時に進みやすくなります。GEXによると、熱帯魚は30℃を超えるような高水温が苦手なので注意が必要です。
※2参考:GEX「熱帯魚飼育には水温管理が大事!」
ろ過が止まり水質が悪化する
ろ過フィルターが止まると、魚のフンや残り餌から出る有害なアンモニアが分解されにくくなります。ろ過バクテリアは、酸素を使いながらアンモニアを分解しているためです。
外部式フィルターは、電気が戻っても自然には動き出さない場合があります。停電後は、呼び水で配管を水で満たしてから動作を確かめるのが安全です。
停電した水槽の魚は何時間もつ?種類別の目安

停電した水槽の魚がもつ時間は、魚の種類に加えて、水温や水量、飼育数によって大きく変わります。時間を目安に様子を見るのではなく、停電したらすぐに酸素と水温の対策を始めましょう。魚の種類ごとに異なる、停電時に注意したい点は以下のとおりです。
- 金魚・メダカ
- 小型の熱帯魚
- 大型魚・海水魚
それぞれの魚の弱点と、停電したときの注意点を詳しく解説します。
金魚・メダカ
金魚やメダカは水温の変化に比較的強く、停電時に気を付けたいのは水温よりも酸欠です。テトラによると、金魚の飼育可能な水温は5〜29℃と幅があります(※3)。
一方で、狭い水槽にたくさん飼っていると、酸素はすぐに足りなくなるでしょう。テトラは、30cm水槽なら4cm前後の金魚で3匹程度を目安としています。
小型の熱帯魚
小型の熱帯魚は低い水温に弱く、冬の停電では水温の低下に注意が必要です。セラジャパンによると、大半の熱帯性観賞魚は水温25℃前後の水域に生息しています。
水温が急に下がると、白点病などの病気にかかりやすくなる点も心配です。GEXは、白点病が水温の急激な低下や水質の悪化で発症しやすいと説明しています。
大型魚・海水魚
大型魚や海水魚は、停電したときの酸素補給がほかの魚以上に大切です。前述の表のとおり、25℃の海水に溶ける酸素の量は淡水より約2割少なくなります。
停電したら、電池式のエアーポンプを真っ先に動かして酸素を送りましょう。エーハイムも、酸素の補給は特に海水魚や大型魚に効果的だと案内しています(※4)。
※4参考:エーハイム「エーハイムクラシック2213ろ材付きセット」
水槽が停電したときの対処法|4ステップ

水槽が停電したら、機器のプラグを抜いてから、酸素・水温・水質の順に落ち着いて手を打ちましょう。慌てて水槽に手を入れると、魚を驚かせたり水をこぼしたりしかねません。水槽が停電したときの対処法は、以下の手順で進めるのが基本です。
- 手順1|水槽機器のプラグを抜く
- 手順2|電池式エアーポンプで酸素を送る
- 手順3|断熱シートやカイロで水温を保つ
- 手順4|餌やりを控えて水質の悪化を防ぐ
それぞれの手順で行う作業と注意点について、詳しく解説します。
手順1|水槽機器のプラグを抜く
停電したら、まず水槽の機器のプラグをコンセントから抜きましょう。東京電力は、停電が解消したときの火災を防ぐため、電熱器具のプラグを抜くよう呼びかけています(※5)。
水から出たヒーターに電気が流れると、空焚きで発火しかねません。東京消防庁によると、観賞魚用ヒーターの火災は平成19年から10年間で54件発生しました(※6)。
※5参考:東京電力「電気がつかないときは?」
※6参考:東京消防庁「観賞魚用ヒータの取扱いに気をつけて!」
手順2|電池式エアーポンプで酸素を送る
プラグを抜いたら、電池式のエアーポンプを動かして水槽に空気を送りましょう。前述の東京電力も、停電に備えて水槽の魚のために電池式エアーポンプの用意を呼びかけています。
電池が切れたら、ペットボトルに飼育水を入れて振り、空気を溶け込ませて戻す方法が有効です。サンゴの飼育技術をもつイノカも、この方法を最終手段として紹介しています。
手順3|断熱シートやカイロで水温を保つ
冬の停電では、発泡スチロールや断熱シートで水槽を囲い、水温の低下を遅らせましょう。GEXによると、水槽の熱は水面からの蒸発やガラス面、底面から逃げていきます。カイロは水槽の外側に貼り、水温を少しずつ上げるように使うのがおすすめです。
手順4|餌やりを控えて水質の悪化を防ぐ
停電が続いている間は餌やりを控え、水を汚さないようにしましょう。GEXによると、金魚やメダカの成魚なら1週間程度は餌を与えなくても大丈夫です(※7)。
魚は餌を食べてから数時間、消化のために酸素の消費量が増えます。ろ過が止まった水槽では、食べ残しやフンが水質の悪化に直結する点にも注意が必要です。
水槽の停電対策に役立つグッズ5選

水槽の停電対策グッズは、電気を使わずに酸素を補うものと、水温の変化を抑えるものに分けられます。停電してから買いに行くのは難しいため、平常時のうちに揃えておきましょう。水槽の停電対策として用意しておきたいグッズは、以下のとおりです。
- グッズ1|乾電池式・充電式エアーポンプ
- グッズ2|酸素を出す石(O2ストーン)
- グッズ3|発泡スチロール・断熱シート
- グッズ4|カイロ・保冷剤
- グッズ5|逆流防止弁
それぞれのグッズの特徴と正しい使い方について、詳しく解説します。
グッズ1|乾電池式・充電式エアーポンプ
乾電池式・充電式のエアーポンプは、コンセントがなくても水槽に空気を送れるグッズです。製品によって連続使用時間は異なるため、購入前に必ず確かめましょう。
乾電池式には単3形乾電池2本で約8時間、USB充電式には約15時間動く製品があります。停電が長引く場合に備えて、予備の電池や充電手段も用意しておきましょう。
グッズ2|酸素を出す石(O2ストーン)
酸素を出す石(O2ストーン)は、水に入れるだけで酸素を発生させるグッズです。日本動物薬品の製品では、採集用が約12時間、飼育用が約1か月で酸素を発生させます(※8)。
エアーポンプが使えないときの補助として、停電用に買い置きしておくと安心です。入れる量は水槽の大きさに合わせ、製品の説明書に従って使いましょう。
※8参考:日本動物薬品「水槽用品」
グッズ3|発泡スチロール・断熱シート
発泡スチロールや断熱シートは、水槽を覆って熱の出入りを抑えるグッズです。GEXによると、水槽と台の間に断熱材を敷くと、底面からの放熱を3割も減らせます(※9)。
冬の備えとしてテトラが紹介する、アルミシートを水槽に巻き付ける方法も有効です。段ボールで水槽を囲うだけでも、冷気を和らげる効果が期待できます。
※9参考:GEX「観賞魚の初めての冬越え 水槽管理の手引き」
グッズ4|カイロ・保冷剤
カイロと保冷剤は、停電中に水温を少しずつ調整するためのグッズです。冬はカイロを水槽の外側に貼り、断熱シートと組み合わせると保温しやすくなります。
夏に保冷剤や凍らせたペットボトルを使う場合は、急に冷やしすぎないよう注意が必要です。氷が溶けると水温は再び上がり、温度変化の幅が大きくなります。
グッズ5|逆流防止弁
逆流防止弁とは、ポンプが止まったときに、水がチューブを伝って逆流するのを防ぐ部品です。スドーの製品は、逆流を止めてエアーポンプを故障や漏電から守ります。
GEXによると、ポンプ停止時の逆流を防ぐには、本体を水面より高い位置に置くのが効果的です。停電の前に、ポンプの置き場所と弁の有無を確かめておきましょう。
水槽の停電対策に欠かせないポータブル電源

ポータブル電源とは、内部に大量の電気を蓄電し、コンセントがない場所でも電化製品に給電できる機器を指します。水槽の機器をまとめてつないでおけば、電池式のグッズでは動かせないヒーターやろ過フィルターも、停電中に使い続けられるのが強みです。
水槽の停電対策に必要な性能と、おすすめの製品を詳しく解説します。
水槽の停電対策に必要な性能|おすすめの製品
水槽の停電対策に使うポータブル電源は、停電時に自動で給電を切り替える機能と、ヒーターまで動かせる容量を基準に選びましょう。停電を検知して自動で切り替わるモデルなら、留守中に停電が起きても水槽の機器が止まる心配はありません。
60cm水槽の機器を例に、容量ごとの稼働時間の目安をまとめると、以下のとおりです。
| 接続する機器 | 消費電力 | 1,024Wh | 2,048Wh |
|---|---|---|---|
| ろ過フィルター・エアーポンプ・照明 | 約21W | 約39時間 | 約78時間 |
| 上記+ヒーター(150W) | 約171W | 約4.8時間 | 約9.6時間 |
稼働時間は「容量×0.8÷消費電力」で求めた目安で、0.8は変換ロス分の係数を表します。実際の稼働時間は外気温、水温設定、ヒーターの稼働率、ポータブル電源自身の消費電力などによって異なります。
EcoFlowは、停電時に自動で給電を切り替えるポータブル電源を販売しています。
- DELTA 3 Plus
- DELTA 3 Max
それぞれのモデルの特徴と停電時の強みを、詳しく見ていきましょう。
DELTA 3 Plus
容量1,024Wh、定格出力1,500Wの大容量ポータブル電源。停電を検知すると10ms未満で給電を切り替えるUPS機能を備え、留守中の停電でもろ過フィルターやヒーターを止めません。X-Boost機能を使えば、最大2,000Wの家電まで対応可能。
AC・USB・シガーソケットを含む13個の出力ポートから、水槽の機器にまとめて給電できます。コンセントからは最短56分でフル充電が完了し、停電前の駆け込み充電にも間に合うでしょう。出力600W未満で動かしている間の運転音は、約30dBと静かです。
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DELTA 3 Max
容量2,048Wh、定格出力2,200Wの大容量ポータブル電源。停電時は0.01秒未満で給電を自動で切り替え、ヒーターや水槽用クーラーも止めずに動かし続けます。機器の起動時に生じる一時的な高出力(サージ)にも、4,400Wまで対応可能。
本体幅はわずか23.9cmで、水槽台の横など家具の隙間にもすっきり収まる設計です。出力ポートと排熱口が同じ側面に並ぶため、棚に収納したままでも使えます。運転音は出力600W未満で25dB以下に抑えられ、夜間の寝室でも気になりません。
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水槽の種類・状況別の停電対策

水槽の停電対策は、水槽の種類や停電の状況によって必要な準備が変わります。特にオーバーフロー水槽や海水水槽では、停電時に通常の水槽とは異なるトラブルが起こる点に気を付けましょう。水槽の種類や停電の状況ごとに押さえたい対策は、以下のとおりです。
- オーバーフロー水槽|水があふれないよう水位を確認する
- 海水水槽|サンゴのために手で水流をつくる
- 計画停電|事前に機器の消費電力を確認する
それぞれの水槽や状況に合わせた対策を、順番に見ていきましょう。
オーバーフロー水槽|水があふれないよう水位を確認する
オーバーフロー水槽は、停電でポンプが止まると、上の水槽から落ちてくる水と配管を逆流する水がろ過槽(サンプ)に集まり、あふれる場合があります。
停電時に集まる水の量を見込んで、サンプの水位に余裕を持たせておきましょう。電気が戻ってポンプが動き出した瞬間にも、あふれる場合がある点に注意が必要です。
海水水槽|サンゴのために手で水流をつくる
海水水槽では、停電でポンプが止まったら、手で水を動かして水流と酸素を補いましょう。イノカは、サンゴ水槽に定期的に手を入れてかき混ぜる方法を紹介しています。
かき混ぜるときは、水面を波立たせるように動かすと、空気中の酸素が水に溶け込みやすくなるでしょう。海水は淡水より溶ける酸素が少ないため、こまめに繰り返しましょう。
計画停電|事前に機器の消費電力を確認する
計画停電が予告されたら、水槽の機器の消費電力を事前に確かめておくのが大切です。消費電力の合計が分かれば、停電中に必要な電源の容量を計算できます。
計画停電とは、電力不足のときに地域ごとに時間を区切って電気を止める措置です。2011年3月の東京電力の計画停電では、停電時間は最大3時間程度とされました(※10)。
※10参考:東京電力「3月15日(火)の計画停電の実施予定等について」
水槽の停電に関するよくある質問

最後に、水槽の停電に関するよくある質問と、その回答を紹介します。復旧後の対応や季節ごとの違いなど、停電の前後に迷いやすい点をまとめました。
- 停電から復旧したら何をすればいい?
- 夏と冬で水槽の停電対策は変わる?
- 水槽のコンセントが足りないときはどうする?
それぞれの質問への回答を、ポイントを絞って詳しく解説します。
停電から復旧したら何をすればいい?
停電から復旧したら、ブレーカーを入れてから機器のプラグを差し込み、正常に動くか確かめましょう。東京電力も、ブレーカーを入れた後にプラグを差し込むよう案内しています。
外部式フィルターは、呼び水をしてから動かし、水漏れがないかを確認しましょう。ヒーターは、水にしっかり浸かっているのを確かめてから電源を入れてください。
夏と冬で水槽の停電対策は変わる?
水槽の停電対策は、夏は酸欠と水温の上昇、冬は水温の低下を中心に考えましょう。GEXによると、夏の閉め切った室内は35℃以上になる場合もあり、水温も同様に上がります。
冬の停電では、発泡スチロールや毛布で水槽を包んで保温しましょう。特に熱帯魚は低い水温に弱いため、金魚やメダカより優先して対策が必要です。
水槽のコンセントが足りないときはどうする?
水槽のコンセントが足りないときは、電源タップを使い、つなぐ機器の消費電力の合計がタップの定格を超えないようにしましょう。NITEは、水槽の近くで電源タップに水分が入り込み、トラッキング現象で発火した事例を公表しています(※11)。
電源タップは水槽から離して置き、コードはたるませて水が伝わらないようにしましょう。エーハイムも、万一の漏水に備えてコードをループ状にたわませるよう案内しています。
※11参考:NITE「テーブルタップなどの配線器具をチェックしましょう。」
まとめ

本記事では、水槽が停電したときの対処法や対策について解説してきました。
水槽が停電すると、エアーポンプやヒーターが止まり、酸欠や水温の変化、水質の悪化が同時に進みます。魚がもつ時間は水温や飼育数で変わるため、停電したらすぐに電池式のエアーポンプで酸素を補い、断熱材やカイロで水温を守るのが基本です。
停電中もヒーターやろ過フィルターを動かすには、電池以外の電源を用意しましょう。停電を検知して自動で給電を切り替える電源なら、留守中の停電にも備えやすいでしょう。
EcoFlowは、停電中も水槽の機器を動かし続けられるポータブル電源を販売しています。大切な魚を停電から守りたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
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