夜空に広がる星を写真として残す天体写真は、スマートフォンから天体用CMOSカメラを使う本格的な撮影まで、目的に応じてさまざまな方法があります。綺麗な天体写真を撮るには、撮影方法の違いを理解し、撮影対象に適した道具の準備が重要です。
そこで本記事では、天体写真の代表的な撮影方法について解説します。初心者向けの撮影手順や、スマートフォンを使った撮り方も掲載しているので、自分に合った撮影方法が見つかるでしょう。星空撮影に挑戦したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
天体写真の撮影方法は主に2種類
天体写真の撮影方法は、大きく「固定撮影」と「追尾撮影」の2種類に分けられます。種類によって必要な機材や撮影できる写真の特徴が異なるため、天体写真を始める際は、撮りたい被写体や表現に合わせて撮影方法を選びましょう。
まず手軽に星空を撮ってみたい場合は固定撮影、星雲や天の川などを長時間露光して鮮明に写したい場合は追尾撮影がおすすめです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
固定撮影|三脚にカメラを固定して撮影する
固定撮影とは、三脚にカメラを固定し、星の動きを追いかけずに撮影する方法です。星空は暗いため、通常の昼間の撮影より長い露光時間が必要になります。
カメラを手持ちしたままではブレやすいため、三脚でしっかり固定するのが基本です。固定撮影は赤道儀を必要とせず、カメラ・レンズ・三脚など比較的シンプルな機材で始められます。風景と星空を一緒に写す星景写真にも適しています。
追尾撮影|赤道儀で星の動きを追いながら撮影する
追尾撮影とは、赤道儀を利用して、星の日周運動に合わせてカメラを動かしながら撮影する方法です。自動追尾に対応した赤道儀は、地球の自転によって移動して見える星を追いかけるようにカメラを動かします。長時間露光でも星を点状に写しやすくなるのが特徴です。
長い時間にわたって光を取り込むため、暗い星や天の川などをより鮮明に写す場合にも適しています。一方、追尾撮影では赤道儀を設置するだけではなく、赤道儀の回転軸を天の北極方向へ合わせる「極軸合わせ」が必要です。
天体写真の撮影に必要なカメラ・レンズ・機材
天体写真を撮影する際は、撮影対象と方法に合わせて以下のような機材を選びましょう。固定撮影ならカメラ・広角レンズ・三脚から始め、星をより長く点で写したくなった段階でポータブル赤道儀を追加すると、機材を無理なく拡張できます。- カメラ
- レンズ
- 三脚・赤道儀
- フィルター・予備バッテリーなどの補助機材
それぞれの機材について、詳しく見ていきましょう。
カメラ|一眼レフ・ミラーレス・天体用CMOSカメラ
天体写真に使用する主なカメラには、一眼レフカメラ・ミラーレスカメラ・天体用CMOSカメラがあります。それぞれ構造や用途が異なるため、星景写真を撮りたいのか、天体望遠鏡を使って星雲や星団などを撮りたいのかによって適したタイプを選びましょう。
| カメラの種類 | 主な特徴 | メリット |
|---|---|---|
| 一眼レフカメラ | ミラー機構と光学ファインダーを搭載 | 交換レンズを使い分けながら幅広い撮影ができる |
| ミラーレスカメラ | ミラー機構がなく、EVFや液晶モニターで確認する | 小型・軽量化しやすく、撮影前に明るさや色味を確認しやすい |
| 天体用CMOSカメラ | 天体撮影を目的としたCMOSセンサー搭載カメラ | 冷却機構を備えた製品ではセンサー由来のノイズを抑えやすい |
レンズ|広角レンズ・超広角レンズ
星空全体や天の川と地上風景を一緒に撮影する場合は、広角レンズや超広角レンズが必要です。広い星空を撮影するなら、焦点距離24mm以下の広角タイプが向いています。
焦点距離が短いレンズほど一度に広い範囲を写せるため、天の川、夏の大三角などを1枚の写真に収めやすくなります。また、F2.8やF1.8など開放F値が小さいレンズは、暗い夜空でも短い露光時間で光を集めやすく、固定撮影で星を点に保つ際にも有利です。
三脚・赤道儀|カメラを固定して星を追尾
三脚は、数秒から数十秒の長時間露光を行う天体写真で欠かせない機材です。手持ち撮影ではわずかな動きでも星や地上風景がぶれてしまうため、カメラを固定する必要があります。セルフタイマーやリモコンを併用すればシャッターボタンを押す際の振動も抑えられます。
脚が細すぎる三脚は風の影響を受けやすいため、使用するカメラとレンズの重量に対応した安定性のある製品を選びましょう。さらに露光時間を延ばして星を点で写したい場合は、赤道儀やポータブル赤道儀を使用します。
フィルター・予備バッテリーなどの補助機材
天体写真を快適に撮影するには、カメラやレンズ、三脚などの基本機材に加えて、撮影環境に応じた補助機材も用意すると便利です。主な補助機材と役割を見ていきましょう。
| 補助機材 | 主な役割・特徴 |
|---|---|
| 光害カットフィルター | 不要な光を抑え、都市部や郊外でも星空を撮影しやすくする |
| ソフトフィルター | 明るい星を適度ににじませ、星座の形や明るい星を目立たせる |
| 予備バッテリー | 長時間露光や連続撮影によるカメラのバッテリー切れに備える |
| ポータブル電源 | 赤道儀やカメラなどへ長時間にわたって電力を供給する |
| レンズヒーター | 夜露や結露によるレンズの曇りを防ぐ |
初心者向け!天体写真の撮り方6ステップ
初心者が天体写真を撮る際は、いきなり複雑な赤道儀や画像処理から始めると失敗しやすくなります。固定撮影から始める場合に活用できる基本のステップは、以下のとおりです。- 1.星がよく見える撮影場所を選ぶ
- 2.カメラ・三脚などの機材をセットする
- 3.撮影モード・ISO感度などを設定する
- 4.明るい星にピントを合わせる
- 5.地上を含めて構図を決める
- 6.ダーク・フラットフレームで撮影する
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
1.星がよく見える撮影場所を選ぶ
最初に、街灯や建物の照明などが少なく、星が見えやすい撮影場所を選びます。国立天文台によると、天体は非常に弱い光しか発していないため、都市の人工灯火が大気中のちりや水滴に反射すると、空全体が明るくなって天体が見えにくくなります(※1)。
そのため、大きな都市から離れ、すぐ近くに強い光源がない場所が天体観察に最適です。また、満月の前後は月が非常に明るく、暗い天体の観察には適していません。安全性の面では、道路上や車の出入りが多い場所を避け、三脚が沈み込みにくい固い地面を選びます。
※1参考:国立天文台(NAOJ)「天体を見るのに適した場所はどこ?」
2.カメラ・三脚などの機材をセットする
撮影場所に到着したら、まず三脚を安定した地面へ設置し、カメラとレンズを固定しましょう。砂利や砂地では、アスファルトや硬い土を選ぶ必要があります。長時間露光では撮影中のわずかな振動でも星像がぶれるため、三脚の脚や雲台に緩みがないか確認してください。
追尾撮影を行う場合は、三脚の上に赤道儀や星空雲台を設置し、その上へ雲台とカメラを取り付けます。撮影前にはカメラのバッテリー残量、メモリーカードの空き容量、レリーズの接続も確認しましょう。ケーブルで足を引っ掛けないよう、注意が必要です。
3.撮影モード・ISO感度などを設定する
機材を設置したら、カメラの撮影モード、絞り、シャッター速度、ISO感度を設定します。星を点として撮影する際の設定例は、以下のとおりです。
- レンズ:広角レンズまたはズームレンズの広角側
- 撮影モード:Mモード
- F値:極力小さい
- シャッター速度:15〜30秒程度
- ISO感度:800〜3200
ただし、カメラの設定値は、現地で試し撮りを繰り返して調整しましょう。
4.明るい星にピントを合わせる
天体写真では、ピント合わせをオートフォーカス任せにせず、明るい星を利用してマニュアルで合わせる方法が基本です。明るい星を見つけたらピント拡大機能などを使い、フォーカスリングを回して星の輪郭が最もはっきり見える位置を探しましょう。
レンズのピントリングを単純に無限遠側へ回し切れば合うとは限らないため、必ず実際の星像を確認することが大切です。画面上で星が見つけにくい場合は、一時的にISO感度を3200や6400程度まで上げてライブビューを明るくしましょう。
5.地上を含めて構図を決める
ピントを合わせたら、星だけを写すのか、山、海、木、建物などの地上風景を含めるのかを決めて構図を整えます。星空だけでは位置関係やスケール感が伝わりにくい場合でも、地上のシルエットを取り入れることで、その場所ならではの天体写真に仕上げられるでしょう。
6.ダーク・フラットフレームで撮影する
本格的に天体写真を画像処理する場合は、通常の天体写真であるライトフレームに加えて、ダークフレームとフラットフレームを撮影します。ダークフレームは望遠鏡やレンズにふたをして、光が入らない状態で記録した画像です。
フラットフレームは、レンズや望遠鏡の周辺減光、センサー上のごみの影などによる明るさのムラを補正するための画像です。ダーク・フラット補正は初心者の星景写真で必須ではありませんが、複数枚をコンポジットする星雲・星団撮影で仕上がりを安定させます。
スマホで手軽に撮影!天体写真の撮り方
近年は本格的な一眼レフや赤道儀を持っていなくても、三脚と対応スマートフォンがあれば星空撮影に挑戦できます。スマホを使った天体写真の撮り方は、以下のとおりです。- 1.夜間撮影に強いモデルを選ぶ
- 2.スマホを三脚に固定する
- 3.ナイトモードで撮影する
それぞれの撮り方について、詳しく見ていきましょう。
1.夜間撮影に強いモデルを選ぶ
スマホで天体写真を撮るなら、夜間撮影向けの機能を備えたモデルを選びましょう。夜間撮影に適した機能は、iPhone 11以降がナイトモード、Google Pixelが天体写真機能です。
スマホを選ぶ際は、単に画素数だけを見るのではなく、ナイトモードや天体写真モードの有無、長時間露光時の処理、RAW保存への対応などを確認するとよいでしょう。
2.スマホを三脚に固定する
スマートフォンで星空を鮮明に撮るには、手持ちではなく三脚や安定した台へ固定します。スマホ用三脚を選ぶ際は、端末を確実に挟めるホルダーと、角度を固定できる雲台があると便利です。強風時は脚を高く伸ばしすぎず、できるだけ低い位置で安定させましょう。
3.ナイトモードで撮影する
スマートフォンを三脚へ固定したら、ナイトモードや天体写真モードを利用して撮影します。スマホのナイトモードは機種側で複数枚の画像処理などを行うため、一眼カメラのようにISO感度やシャッター速度を細かく設定しなくても撮影できる点が魅力です。
ただし、月明かりや街灯が強いと暗い星が埋もれるため、できるだけ暗い環境を選びます。撮影後は星を拡大し、ぶれや白飛びを確認してから構図や露光時間を調整しましょう。
天体撮影で電源確保が重要な理由
天体撮影では、撮影方法が本格的になるほど以下のような理由から外部電源が重要です。撮影途中の電源切れは、追尾や撮影そのものの停止につながります。- 数時間から一晩にわたり複数の機材へ給電する
- 夜間の低温環境ではバッテリーが消耗しやすい
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
数時間から一晩にわたり複数の機材へ給電する
本格的な天体撮影では、赤道儀だけでなく冷却CMOSカメラや撮影制御機器などへ同時に給電するため、多くの電力を消費します。こうした機材を数時間動かし続ける場合、家庭用コンセントのない撮影地では外部バッテリーが欠かせません。
夜間の低温環境ではバッテリーが消耗しやすい
天体撮影では、夜間の低温によってカメラや周辺機器のバッテリー性能が低下する点にも注意が必要です。寒冷地ではバッテリーの性能が低下すると、使用時間が減少します。
そのため、天体撮影ではカメラ用の予備バッテリーを複数用意するほか、モバイルバッテリーやポータブル電源を活用する方法もおすすめです。
天体撮影で大活躍するポータブル電源
商用電源がない郊外や山間部で長時間の天体撮影を行う場合、複数の機材へまとめて給電できるポータブル電源が役立ちます。ポータブル電源とは、バッテリーに大量の電気を蓄電し、ACコンセント、USB-C、USB-A、DC出力などから対応機器へ給電できる製品です。
天体撮影に必要なポータブル電源の性能と、おすすめの製品について見ていきましょう。
機材別の消費電力と必要容量の目安
天体撮影に必要なポータブル電源の容量を決めるには、使用する機材の消費電力を1台ずつ確認する必要があります。機材別の消費電力の目安は、以下のとおりです。
- ポータブル赤道儀:約1~2.5W
- 大型赤道儀:約5.4~26.4W
- レンズヒーター:約2.5W
- 冷却CMOSカメラ:カメラ本体約5.75W+冷却最大36W
- カメラバッテリー:約30~60W
- ノートPC:約30~100W
必要なポータブル電源の容量は、基本的に「合計消費電力(W)×使用時間(h)÷0.8」で求められます。ポータブル電源から給電する際に生じる変換ロスの想定値は、約20%です。
例えば、消費電力2.5Wのポータブル赤道儀と2.5Wのレンズヒーター、30Wのカメラ用充電器を8時間使用すると仮定した場合、必要容量は以下のように計算できます。
(2.5W+2.5W+30W)×8時間÷0.8=350Wh
この構成なら、計算上は350Wh程度が必要になるため、余裕を考慮すると500Wh前後のポータブル電源が選択肢になるでしょう。一方、冷却CMOSカメラや大型赤道儀、ノートPCまで使用すると消費電力量は大幅に増加します。
カメラと小型赤道儀を中心とした比較的シンプルな撮影なら500Wh前後、冷却CMOSカメラや大型赤道儀、ノートPCまで一晩稼働させる本格的な撮影なら1,000Wh以上を目安にし、実際の消費電力と撮影時間から適切な容量を選ぶことが重要です。
天体撮影に必要な性能|おすすめの製品
小型赤道儀とスマートフォン、カメラの充電などを中心にした軽量な天体撮影では、小型で運びやすいモデルが便利です。一方、冷却CMOSカメラ、大型赤道儀、ノートパソコン、防露ヒーターなどを一晩使う構成では、500Wh以上を必要とするケースも考えられます。
EcoFlowは、天体写真の撮影に最適なポータブル電源「RIVER 3 Series」を販売しています。定格出力600W、X-Boostで900Wの撮影機材まで給電が可能です。容量286Whを備えており、撮影時間や機材に合わせてワイヤレス接続で最大858Whまで拡張できます。
約4.7kgの軽量設計であり、撮影に適した場所まで気軽に持ち運べるでしょう。動作音は30dB以下なので、天体撮影に集中できます。
→天体撮影に出かける前の1時間で満充電「RIVER 3 Series」
${product_carousel_1}
天体写真・撮影に関するよくある質問
最後に、天体写真・撮影に関するよくある質問を紹介します。- 天体写真の撮影におすすめの時間帯・季節はいつですか?
- 天体写真がぼやけたり星が流れたりする原因は何ですか?
- 一晩の天体撮影に必要なポータブル電源の容量はどれくらいですか?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
天体写真の撮影におすすめの時間帯・季節はいつですか?
天体写真を撮影する時間帯は、日没後に空が十分暗くなってから日の出前までが基本です。満月に近い夜は月明かりによって暗い星が目立ちにくくなるため、撮影前に月齢や月の出・月の入り時刻を確認しておくとよいでしょう。
特に冬は空気が澄みわたっているため、夜空の撮影に適しています。冬は澄んだ星空、夏は天の川など、撮影したい被写体から季節を選ぶのもポイントです。
天体写真がぼやけたり星が流れたりする原因は何ですか?
天体写真がぼやける主な原因は、ピントのずれや撮影時のカメラの振動です。星空は暗いため、オートフォーカスでは正確にピントを合わせにくい場合があります。
また、シャッターボタンを直接押す際の振動も写真がぼやける原因になるため、セルフタイマーやインターバル撮影、レリーズなどを活用するのがおすすめです。
一晩の天体撮影に必要なポータブル電源の容量はどれくらいですか?
一晩の天体撮影に必要なポータブル電源は、カメラや小型赤道儀、レンズヒーターを中心に使うなら300Wh前後、本格的な機材を複数使用するなら500〜1,000Wh程度が目安です。
ただし、必要容量は使用する機材の消費電力と撮影時間によって大きく変わるため、実際の機材構成から計算して選ぶ必要があります。必要な容量の基本的な計算方法は、「使用機器の消費電力(W)×使用時間(h)÷0.8」です。
まとめ
本記事では、天体写真の撮影方法や必要な機材について解説してきました。天体写真の代表的な方法は、三脚にカメラを固定する「固定撮影」と、赤道儀で星の日周運動を追う「追尾撮影」です。最初は一眼レフやミラーレス、広角レンズ、三脚を使った固定撮影から始めると、星空撮影の基本となる露出やピント合わせを覚えやすくなります。
撮影では、街灯や月明かりの少ない場所を選び、カメラを安定させ、Mモードとマニュアルフォーカスで試し撮りを繰り返すことが重要です。
EcoFlowは、天体撮影に必要な機材へまとめて給電できるポータブル電源を販売しています。長時間の撮影を想定している方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
→ワイヤレス接続で最大858Whに容量拡張可能「RIVER 3 Series」
${product_grid}
