大きな災害のあと、避難生活の中で体調を崩して亡くなる「災害関連死」が相次いでいます。地震や津波を生き延びたにもかかわらず、なぜ命を落としてしまうのか、疑問に感じる方もいるでしょう。家族を守るために、何を備えればよいのか知りたい方も多いはずです。
そこで本記事では、災害関連死の定義や原因、過去の災害での実態について解説します。認定基準や遺族が受けられる支援、今日からできる対策も紹介しているので、自分と家族の命を守る備えを始めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
災害関連死とは?直接死との違い
災害関連死とは、災害を生き延びたあとの避難生活などが原因で亡くなるケースを指します。建物の倒壊や津波による直接死と違い、発災から数日〜数か月後に起こる場合が多くあります。災害関連死を防ぐため、まずは言葉の意味を押さえておきましょう。
災害関連死の定義や直接死との違いについて、詳しく解説します。
災害関連死の定義|内閣府の考え方
内閣府は2019年4月、災害関連死の定義を関係省庁で共有し、自治体にも周知しました(※1)。負傷の悪化や、避難生活の負担による病気で亡くなった方が対象です。
さらに、「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づき、災害が原因と認められる必要があります。市町村の審査で認定されて、はじめて災害関連死に数えられます。
※1参考:内閣府「災害関連死について」
直接死・災害関連死・関連自死の違い
災害で亡くなった方の主な区分と、それぞれの違いは以下のとおりです。
- 直接死:建物の倒壊や津波などにより、災害発生時に亡くなるケース
- 災害関連死:避難生活の負担で亡くなり、災害との因果関係が認められたケース
- 関連自死:災害による生活の変化や心身の不調を苦に、自ら命を絶つケース
内閣府の定義に照らすと、避難生活の負担による病気を苦にした自死も災害関連死に含まれます。厚生労働省によると、東日本大震災に関連する自殺者は累計252人です(※2)。
※2参考:厚生労働省「自殺の統計:最新の状況」
災害関連死が注目されるようになった背景
災害関連死が広く知られるきっかけとなったのは、1995年の阪神・淡路大震災です。震災による死者6,434人のうち、約900人が震災関連死と認定されました(※3)。
2004年の新潟県中越地震では、死者68人のうち52人が災害関連死でした(※4)。車中泊によるエコノミークラス症候群の疑いで亡くなる方が出て、注目を集めました。
※3参考:内閣府「阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】人的被害」
※4参考:新潟県「新潟県中越大震災」
過去の災害別|災害関連死による死者数と割合
災害関連死の人数は、被災地の状況や避難生活の環境によって大きく異なります。近年の地震の中には、直接死を大きく上回る数の方が災害関連死と認定された災害もあります。過去の主な災害における災害関連死の状況は、以下のとおりです。- 東日本大震災|震災関連死は約3,800人
- 熊本地震|死者の8割以上が災害関連死
- 能登半島地震|直接死を上回った災害関連死
それぞれの災害における被害の状況を、詳しく見ていきましょう。
東日本大震災|震災関連死は約3,800人
東日本大震災では、2025年12月末時点で3,810人が震災関連死と認められています(※5)。県別では福島県が2,350人と最も多く、全体の約6割を占めます。
復興庁の調査では、避難所などでの生活による心身の疲労が原因の約3割を占めました(※6)。福島県では原発事故に伴う避難が重なり、移動中の疲労も約3割にのぼりました。
※6参考:復興庁「東日本大震災における震災関連死に関する報告」
熊本地震|死者の8割以上が災害関連死
2016年4月の熊本地震では、熊本県内の死者275人のうち225人が震災関連死です(※7)。直接死の50人を大きく上回り、死者の8割以上を占めています。
2度の震度7を観測し、余震を恐れて車中泊を選ぶ人も多くいました。内閣府の事例集では、原因の約4割が地震のショックや余震への恐怖による負担です(※8)。
※7参考:熊本県「熊本地震から10年」
※8参考:内閣府「災害関連死事例集(増補版)について(概要)」
能登半島地震|直接死を上回った災害関連死
2024年1月1日の能登半島地震では、災害関連死が直接死を大きく上回りました。石川県では2026年8月末時点で、死者741人のうち513人が災害関連死です(※9)。
能登町では死者96人のうち94人が災害関連死で、直接死は2人でした。真冬に断水や停電が長引く中で、避難生活を送った方も少なくありません。
※9参考:石川県「令和6年(2024年)能登半島地震に関する情報」
災害関連死の実態|年代別の割合と発生時期
災害関連死の統計を見ると、亡くなった方の年代や時期には、災害の違いを超えた共通点があります。特に多いのは、持病を抱えた高齢者が発災から数か月の間に亡くなるケースです。どのような人が、いつ危険にさらされやすいのかを知り、備えに役立てましょう。災害関連死の年代別の割合と発生時期について、詳しく解説します。
災害関連死は高齢者に集中している
災害関連死で亡くなる方の大半は、体力が落ちやすい高齢者です。前述の内閣府の事例集では、70歳以上の割合が東日本大震災で約87%、熊本地震で約78%でした。
能登半島地震では、認定された286人のうち約82%が80歳代以上です(※10)。約94%に既往症などがあり、持病のある高齢者はとりわけ注意が必要です。
※10参考:内閣府「令和6年能登半島地震の災害関連死事例集」
災害関連死はいつから?発災からの経過日数
災害関連死は発災直後から起こり始め、数か月にわたって続きます。前述の資料をもとに、亡くなるまでの期間を災害ごとに比べると以下のとおりです。
| 災害 | 発災から1か月以内 | 発災から3か月以内 |
|---|---|---|
| 東日本大震災 | 約32% | 約50% |
| 熊本地震 | 約57% | 約81% |
| 能登半島地震 | 約34% | 約66% |
いずれの災害でも、発災から3か月以内に多くの方が亡くなっています。東日本大震災では1年を過ぎてから亡くなった方も約26%おり、長い避難生活にも警戒が必要です。
災害関連死の原因5選|多い順に見るリスク
災害関連死は、複数の要因が重なって起こる場合も少なくありません。内閣府の事例集では、避難生活の負担が約53%で最も多く、電気・ガス・水道の途絶による負担が約14%で続きます。避難生活の中で災害関連死につながりやすい主な原因は、以下のとおりです。- 原因1|避難所生活の身体的・精神的ストレス
- 原因2|持病の悪化と医療・介護の中断
- 原因3|エコノミークラス症候群
- 原因4|感染症・低体温症・熱中症
- 原因5|トイレを我慢することによる脱水
それぞれの原因について、背景と併せて詳しく見ていきましょう。
原因1|避難所生活の身体的・精神的ストレス
避難所では、硬い床での雑魚寝や騒音、プライバシーのない集団生活が続きます。東日本大震災の避難所は、国際的な難民支援の基準を下回ると指摘されました(※11)。
こうした負担は睡眠不足や食欲の低下を招き、持病を悪化させる原因です。能登半島地震の事例集にも、避難所の過密状態や食欲不振が記されています。
避難所のルールを確認のうえ、自分用の電源を持ち込むと安心です。ポータブル電源とは、大量の電気を蓄え、コンセントがない場所でも家電に給電できる機器を指します。
EcoFlowの「RIVER 3」は、定格出力300W、容量230Whのポータブル電源です。X-Boost機能を使えば、最大450Wまでの家電を動かせます。業界標準より30%小型化されたコンパクトな設計なので、避難所へも手軽に持ち運べるでしょう。
合計6つのポートを備え、スマートフォンや扇風機、電気毛布に同時に給電できます。動作音は30dB以下と静かなので、周囲に人がいる避難所でも使いやすいモデルです。ACコンセントなら1時間で満充電でき、限られた充電の機会も逃しません。
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※11参考:内閣府「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」
原因2|持病の悪化と医療・介護の中断
災害で病院や介護施設が被災すると、必要な治療や介護を受けられなくなります。復興庁の調査でも、病院の機能停止による初期治療の遅れなどが原因の約2割でした。
薬が手に入らず服薬が途切れたり、停電で在宅の医療機器が止まったりした事例もあります。能登半島地震では、亡くなる直前に病院や介護施設にいた方が約6割でした。
自宅で療養や介護を続ける家庭ほど、停電時に使える電源を備えておきましょう。在宅避難を選ぶ場合も、電源があれば生活の質を保ちやすくなります。
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13個の出力ポートから、照明や電気毛布、電気ポットなどに同時に給電できます。停電時には10ms未満で給電を切り替える、UPS機能も搭載。ACコンセントからは最短56分で満充電でき、台風の接近前など、いざというときにも素早く備えられます。
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原因3|エコノミークラス症候群
エコノミークラス症候群は、同じ姿勢を続けて足の血流が悪くなり、血栓ができる病気です。血栓が肺へ飛んで血管を詰まらせると、肺塞栓などを招く危険があります(※12)。
車中泊や避難所の雑魚寝で起こりやすく、水分や食事の不足も発症の引き金です。特に高齢の方や持病のある方、妊娠中の方は十分に注意しましょう。
※12参考:厚生労働省「エコノミークラス症候群の防止と給水・入浴について」
関連記事:車中泊避難は本当に安全?メリット・デメリットや必要なグッズを徹底解説
原因4|感染症・低体温症・熱中症
避難所では風邪などの感染症が広がりやすく、高齢者は誤嚥性肺炎にも注意が必要です。前述の事例集でも、死因の約3割を肺炎などの呼吸器系の疾患が占めました。
冬は暖房が使えないと低体温症、夏は冷房が使えないと熱中症の危険が高まります。能登半島地震では、停電で暖房が使えずに心不全を起こし、亡くなった事例もあります。
関連記事:屋外の暑さ対策とは?屋外活動別の熱中症対策や応急措置を詳しくご解説
原因5|トイレを我慢することによる脱水
トイレが使えなくなると、不衛生なトイレを避けて水分や食事を控える人が増えます。その結果、脱水や栄養状態の悪化、エコノミークラス症候群などにつながります(※13)。
新潟県中越地震では、トイレが不安で水を飲むのを控えた人が小千谷市で33.3%にのぼりました。和式や暗い場所のトイレは、高齢者や女性にとって使いにくい点も課題です。
※13参考:内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」
災害関連死の認定基準と遺族への支援
災害関連死と認められるには、遺族が市町村に災害弔慰金を申請し、審査を受ける必要があります。医師や弁護士などで構成する審査会が、死亡と災害との因果関係を個別に判断する仕組みです。審査で災害関連死と認められれば、遺族に災害弔慰金が支給されます。認定の目安とされてきた基準や、遺族が受けられる支援を解説します。
災害関連死認定の参考「長岡基準」とは
長岡基準は、2004年の新潟県中越地震で長岡市が示した災害関連死の判断の目安です。1週間以内の死亡は関連死と推定し、6か月を過ぎた死亡は関連死ではないと推定します。
東日本大震災では、原発事故による避難など、この基準に合わない事例も多くありました。実際に6か月以降の震災関連死は約4割にのぼり、個別の審査が求められています。
認定されるとどうなる?災害弔慰金の支給額
災害弔慰金は、災害で亡くなった方の遺族に市町村から支給されるお金です。支給額は、亡くなった方が世帯の生計を維持していたかどうかで以下のとおり異なります(※14)。
| 区分 | 生計維持者の場合 | その他の方の場合 |
|---|---|---|
| 災害弔慰金(死亡) | 500万円 | 250万円 |
| 災害障害見舞金(重い障害) | 250万円 | 125万円 |
弔慰金を受け取れるのは、亡くなった方の配偶者や子、父母、孫、祖父母です。これらの方がいない場合は、同居または生計を同じくしていた兄弟姉妹も対象となります。
※14参考:内閣府「災害弔慰金、災害障害見舞金の概要」
災害関連死を防ぐには?個人でできる対策6選
災害関連死の多くは、避難生活の環境を整え、体調の変化に早く気付けば防げる可能性があります。自治体の支援を待つだけでなく、平時から一人ひとりができる備えを進めておきましょう。災害関連死を防ぐために、個人でできる主な対策は以下のとおりです。- 対策1|携帯トイレを備蓄してトイレを我慢しない
- 対策2|こまめに水分をとり体を動かす
- 対策3|寝袋やマットで睡眠環境を整える
- 対策4|停電時の暑さ・寒さ対策を行う
- 対策5|常備薬とお薬手帳を準備する
- 対策6|孤立を防ぎ心のケアを行う
それぞれの対策について、具体的な方法やポイントを詳しく解説します。
対策1|携帯トイレを備蓄してトイレを我慢しない
断水や停電、排水管の損傷などで、トイレが使えなくなる場合があります。排泄は1人1日平均5回とされ、最低3日分、できれば7日分の携帯トイレを備蓄しましょう(※15)。
例えば4人家族の場合、7日分なら140回分の携帯トイレが目安です。便座に袋をかぶせて凝固剤で固めるタイプなら、自宅のトイレをそのまま使えます。
※15参考:神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」
関連記事:登山中のトイレはどうする?携帯トイレの重要性やトイレ対策などをご紹介!
対策2|こまめに水分をとり体を動かす
エコノミークラス症候群を防ぐには、同じ姿勢を続けず、ときどき足を動かすのが効果的です。かかとの上下運動や3〜5分程度の歩行を習慣にして、適度に水分をとりましょう。
トイレが気になっても水分を控えず、こまめに飲むよう心がけてください。心配な方は、医師に相談のうえで弾性ストッキングを着用する方法もあります。
対策3|寝袋やマットで睡眠環境を整える
床に長く横たわると、エコノミークラス症候群やほこりを吸い込む健康被害が心配です。内閣府も、段ボールベッドなどの簡易ベッドの設置が望ましいとしています(※16)。
簡易ベッドが届くまでは、寝袋やエアマットで床の冷たさや硬さを和らげましょう。耳栓やアイマスクがあれば、音や明かりが気になる避難所でも眠りやすくなります。
※16参考:内閣府「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」
対策4|停電時の暑さ・寒さ対策を行う
停電が長引くと、冷暖房を使えない状態で過ごす時間が長くなりがちです。能登半島地震で災害関連死と認定された286人のうち、136人の経緯に停電が記されていました。
電気毛布や扇風機を動かせるポータブル電源があれば、暑さや寒さをしのぎやすくなるでしょう。ソーラーパネルを組み合わせれば、停電中でも日中に充電を続けられます。
関連記事:停電時の暑さ対策グッズ完全ガイド!電気不要ですぐできる方法を解説
対策5|常備薬とお薬手帳を準備する
災害時は医療機関や薬局も被災し、普段の薬がすぐに手に入るとは限りません。持病の薬は数日分を持ち出し袋に入れ、使用期限も定期的に確認しましょう。
お薬手帳があれば、医師や薬剤師に服用中の薬を正確に伝えられます。手帳をスマートフォンで撮影したり、マイナ保険証を持ち歩いたりする方法も有効です。
対策6|孤立を防ぎ心のケアを行う
避難生活が長引くと、住み慣れた地域を離れて孤立し、不調を抱え込む方が増えます。心の健康を保つには、周囲とのつながりを保つ工夫が欠かせません。
家族や近所の人と声をかけ合い、避難先でも互いの様子を気にかけましょう。眠れない日が続くなど不調を感じたら、一人で抱え込まず保健師や相談窓口を頼ってください。
災害関連死に関するよくある質問
最後に、災害関連死に関するよくある質問を、まとめて紹介します。- 自治体・地域で進む災害関連死対策は?
- 災害関連死を防ぐためにできることは?
それぞれの質問について、回答をひとつずつ詳しく見ていきましょう。
自治体・地域で進む災害関連死対策は?
内閣府は2024年12月に避難所の指針を改定し、国際的なスフィア基準に沿った運営を求めています。トイレは発災当初から50人に1基、その後は20人に1基が目安です。
福祉避難所では2021年の改定で、受入対象者を事前に公示する仕組みが設けられました(※17)。高齢者や障害のある方が、福祉避難所へ直接避難しやすくなる見込みです。
※17参考:内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」
災害関連死を防ぐためにできることは?
災害関連死を防ぐには、避難生活を少しでも快適にする準備が欠かせません。携帯トイレや常備薬、寝具、電源などを備え、自宅が安全なら在宅避難も選べるようにしましょう。避難生活では水分補給と軽い運動を心がけ、体調の変化に気を配ります。
まとめ
本記事では、災害関連死の原因や実態、防ぐための対策について解説してきました。災害関連死は、避難生活の負担などが原因で亡くなり、災害との因果関係が認められた死です。熊本地震や能登半島地震では、直接死を上回る数の方が亡くなりました。特に持病のある高齢者にとって、発災から数か月の間は危険な時期です。
日常的には、携帯トイレや常備薬、寝具などの備蓄を進め、停電に備えた電源も確保しておきましょう。家族や地域で声をかけ合える関係づくりも、命を守る大きな力です。
EcoFlowは、避難所への持ち出しにも自宅での停電対策にも役立つポータブル電源を販売しています。災害時の避難生活に備えたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
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